書状保管庫

本書状を、人類に捧げる

遺書 市民の皆さんへ

市民の皆さんへ

 

この手紙が皆の目に触れる時は、私はもう、生きてはいない。手紙を書き終えたら、仲間の兵士に「これを、私が死んだら、そっと時線に流しておいて」って、頼んでみるつもりだ。

 

私の胸は、皆への感謝の気持ちでいっぱいだよ。850年はまだほんの僅かしか過ぎていないはずなのに、君たちとはなんだか何年も共にいるような心地がするんだ。不思議だね。言葉を尽くして、信頼の回復に努め、市民の思いを知ることが、私の使命だと思っていたんだけどね……こんなに君たちに愛着が湧くとは思ってなかった。君たちは私にとって大切な、かけがえのない存在だ。

 

これまで、君たちからは、不安の声や喜びの声、家族とのこと、仕事のこと、学校のこと、苦しみを乗り越えたこと、希望を捨てずに努力し続けていること……本当にたくさんの言葉を受け取った。壁内には、私が守るべき人がいて、その人たちは確かに日々を力強く生きていることがわかった。君たちの想いが、私の背を押してくれた。君たちの意志が、私の背に生えた翼を強く羽ばたかせてくれたんだ。本当にありがとう。私の人生はこれで終わりだけど、君たちはこれから、君の人生を、どう歩んでゆくの?

 

 私の意志は、調査兵団兵によって受け継がれる。調査兵団兵は、君たちが自由を求め続けるなら、これからも喜んで戦い続けるだろう。君たちは、天空を翔ける鳥と、籠の鳥、どちらになりたい?

 

 それでは、任務に出るよ。

 私の心臓を、人類に捧げます。私の命が、自由奪還の礎になりますように。

 

 

850xxxx日 ウォール・ローゼへと旅立つ前に ナナバ

 

追伸 この手紙を、仲間から返してもらって、笑って破くことができたら、任務遂行だ。今回はどうかな。

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第一号書簡 市民の皆様へ

 

 私の書簡を御読み頂きまして、誠にありがとうございます。

 先ずは市民の皆様に謝罪の意を表明致します。

 私達調査兵団はこれまで、目に見える成果を挙げる事が出来ないまま、「市民の皆様が納めて下さった税金を溝に捨てるような壁外調査」を幾度も行って参りま した。正当化するつもりも言い訳するつもりもございませんが、我々は人類の活動領域を拡大させる事を目的に、日々過酷な訓練を積み、巨人の生態研究や戦術 の研究等を行っております。しかし、5年前のウォール・マリアに於ける超大型巨人及び鎧の巨人襲来 時には、力及ばず巨人の侵入を許し、人類の活動領域を後退させてしまいました。そして4年前のウォール・マリア奪還作戦には失敗し、軽々しい謝罪の文言で はとても済まない惨劇を引き起こしてしまいました。ご期待に添えなかったばかりか、市民兵士共に多大なる犠牲を出してしまいました事、此の場をお借りして 心よりお詫び申し上げます。我々はあの事件に報いるため、現在ウォール・マリア奪還の準備を、着々と進めております。

 

 申し遅れました。私は調査兵団兵のナナバと申します。此処へは、公に心臓を捧げた兵士として、非公式に、私自身の個人的な意志で参りました。畏 れ多くも此処で私が致しますのは、明日の見えない今、市民の方抱えていらっしゃる不安を、言葉にて僅かながらでも癒さんとする事です。ウォール・マリア陥 落以降、市民の皆様のお心には、悲しみや苦しみ、怒りが募っていらっしゃる事でしょう。そのお気持ちを、私に是非お聞かせください。

 また、我々の活動内容等もお伝え致します。我々の存在及び活動は、市民の皆様には中々身近なものではなく、わかりにくい点が多く ある事を承知しております。その為、此処での皆様との交流や、私や私の仲間の発言をご覧頂く事で、調査兵団という組織を少しでも知って頂けたらと思ってお ります。

 

 ご意見は幾らでも承ります。しかし、皆様、我々は明確な「人類の希望」を手に、再び立ち上がりました。今一度、どうか我々に御力を御貸し頂けま せんか。我々は人類に自由と安寧、そして幸福を齎す事をお約束致します。此れまで我々が行ってきた数々の信用失墜行為を反省致しますと共に、皆様の思いを 受け止め、精一杯言葉を尽くして参りたいと思います。何卒宜しくお願い申し上げます。

尚、私が発言するこの空間は、全ての市民の皆様に私の死が公開され次第、更新を停止致します。予めご了承下さい。

 

我々調査兵団兵は、尽忠報公の志を持って此処で得た全てを我が進撃の力に換え、自由奪還の為、身命を賭して戦い続ける事を誓います。

 

 

850年xx月xx日 調査兵団所属 ナナバ

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第二号書簡 兵士諸君に告ぐ※必読※

 

やぁ、兵士諸君。日々の任務や訓練お疲れ様。忙しい中、私の書簡をお読み頂きありがとう。心から感謝するよ。

早速だが、先ず、私が此処に来た理由を二つ述べよう。一つは、市民の方に僅かでも安心して生活を送って頂く為。もう一つは、調査兵団の信頼回復の為だ。

 

我々は此れまで、成果を上げる事の出来なかった壁外調査にて、幾度も市民の方から頂いた血税を、市民の方が望むようには活かし切れず、「溝に捨てて来た」。侵攻を許したウォール・マリアは陥落して多大な犠牲者を出し、トロスト区は防衛したが市民の方の心と生活に強い不安を残した。――此処までは理解出来ているね?話を続けよう。――我々兵士の自由奪還の戦いは、市民の信頼無くしての完遂は有り得ない。しかし今のままでは、我々が壁外の敵を一掃する前に、市民同士の争いで、人類は滅んでしまうだろう。その為私は、批判や糾弾を受ける覚悟で、此の場を借りて市民の方に直接言葉を贈り、少しでも安心して生活して頂けたらと意を決し訪れた。

 

以上でわかったと思うが、君達との交流は第一目的ではないんだ。

兵士の真似事をするばかりで、目的や意志が全く感じられない者や、市民が見ている時線上にて信用失墜行為に及んだ者は、容赦なく縁を切らせてもらうよ。お遊びや息抜きに此処を利用している者、恋人や家族を作りにやって来た者は今すぐこれを読み止めて帰ってくれ。

はっきり言うが、訓練兵の足元にも及ばないような者を、仲間と認める訳にはいかない。私をフォローし、勝手に挨拶にやってくる分には構わないが、此方からのフォローバックは一切期待しないように。公に心臓を捧げた者として、志を持ち、共に活動を行ってくれるのならば、心強い仲間として歓迎しよう。

 

何か相談事があれば兵舎にて聴くよ。私は、早朝は訓練場にいる。夕方か夜には帰り着き、食堂か書庫で過ごしているだろう。くれぐれも、DMなど送らないようにね。送って来られても、私は一切読まないよ。いいね?

 

それでは、失礼。兵士諸君の熱い意志に期待しているよ。

 

 

850年xx月xx日 調査兵団所属 ナナバ

 

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